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ぼくたちは、なぜ学校へ行くのか

今年度から小学校のPTAボランティアで朝の本の読み聞かせに月一回行っています。

今回の担当は6年生でした。
6年生に読み聞かせをするための本・・・・困りました。うちのムスメが6年生だったときは絵本を卒業してティーン向けの文庫本を読んでいました。読み聞かせの時間は15分程度。さて、どうしたものか・・・・。他のボランティアさんから推薦があった『ランドセルは海を越えて』(ポプラ社)もいいな、と思っていたのですが、市立図書館でふっと手に取った本に魅かれました。

『ぼくたちはなぜ、学校へ行くのか。-マララ・ユスフザイさんの国連演説から考える』(石井光太著、ポプラ社、2013年)
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この本は、パキスタン人の女の子、マララ・ユスフザイさんが国連で行った演説について筆者が考えたことをまとめた本です。マララさんと言えば女の子が学校へ行くことを禁じた武装勢力に対して「学校へ行きたい」と訴え続けてきた女の子。15歳のときに銃で打たれてしまいますが奇跡的に一命をとりとめ、16歳のとき国連で自身の経験と考えを演説したことでとても有名な方です。

この本は、マララさんの演説の抄訳、多くの写真、そして筆者の文章で構成されており、63頁もあります。読み聞かせをするには長いと感じたのですが、子どもたちに語りかける文体で書かれており、6年生なら大丈夫ではないか、と思ってこの本に決めました。

本を見せて「読んだことがある人はいますか?」と聞くと誰もいません。マララさんの写真の載ったページを開いて「マララさんを知っていますか?」と聞くと数名が知っているような表情をみせました。果たして20分も聞いてくれるのかしら、と少々不安になりつつも読み始めると・・・・シーンと教室が静まり返り、子どもたちが耳を澄まして集中しているのが伝わってきます。そして、その静寂は最後のページを読み終わるまで続きました。読み終えて子どもたちの方をみると、ぐっと顔をあげて前を見つめています。一生懸命に考えながら聞いてくれたことがよく分かりました。

「ぼくたちはなぜ、学校へ行くのか」という根本的な問いに答えられる大人はそうはいません。学校の先生だって大学の研究者だってそうです。筆者はこのように述べています。
『戦争はいけない、と言うだけでは戦争は止まらない。差別はいけない、と叫ぶだけでは差別はなくならない。しっかりと自分の考えをつくりあげ、それを人にわかってもらえるようなことばにして伝えなければならない。そのために必要なのが、学校なんじゃないだろうか。学校へ行って、いろいろな友だちと遊び、勉強をし、話し合い、考えあうことで、自分自身のことばを自分でつかみ取っていく。学校は、そういうことができる場所なんだと思う。』(57頁)

『いっしょうけんめい勉強して自分のことばで世界をよくしていく。だから、みんなも、いっしょうけんめい勉強して世界をよくしていってほしい。そうやって、すべての人が生きていて楽しいと思える世のなかをいっしょにつくっていこうよ。』(63頁)

私が小学校の先生なら、ここからディスカッションに入りたいところなのですが、読み聞かせボランティアなのでここでおしまいです。でも、子どもたちの澄んだ目を見ることができてよかったな、と思いながら小学校をあとにしました。学ぶことの大切さについて、少しでも考えるきっかけになってくれれば、と思いました。






Commented by nolie-mayurin at 2018-01-17 18:58
こんばんは

懐かしいです、読み聞かせ
私も6年間小学校で読み聞かせをしていました

よい本ですね
私も子供からよく「勉強はなぜしないといけないのか?」
と質問を受け、ずっと考えていた時期がありました
マララさんの言葉で
「Education is the only solution」
という言葉好きです
まさにその通り!
教育がなぜ必要かをたった一文で教えてくれました

読み聞かせをした子供たちも何かを感じとってくれるといいですね
Commented by tacky41 at 2018-01-18 20:39
こんばんは.
そうですか,Nolieさんも読み聞かせに行っていましたか.6年間もすごいですね.今年からまだ数回ですが,とても新鮮です.いつもは20歳くらいの子たちの前に立っているので,その半分の歳の子たちがどんな感じなのか,いつもドキドキしています.前回は4年生でしたが,今回は6年生.何か感じたり考えられるような内容かなあ,と想像して本を選んでみました.多分,読後の感じではレベルが合っていたのではないかと思います.おそらく,大学生でもこの本でディスカッションをすることができると思います.その場合は,自分がもし授業をするなら,この本を使って子どもたちにどのようなことを学ばせたいか,という視点からになるかな,と思います.





by tacky41 | 2018-01-16 22:06 | 行事 | Comments(2)

ワーキングマザーの子育て&お仕事日記。


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